宮本三夫

本書は、私が殉職船員への鎮魂の念を込めて書いたものであるが、以下の多面的機能を備えている。第ーに、太平洋戦争の敗因を補給作戦面から解明した戦史としての機能である。第二は、徴傭船原簿で確認された喪失船舶 3,605 隻(約905万総トン)について、沈没位置・殉職船員等の数を含む被害の概要、並びに 1,221 の輸送船団の出発港・到着港、投入・被害船腹量及び護衛艦数等の情報を、それぞれ一覧表にまとめ後世に伝えようとした記録(データベース)としての役割である。第三は、これら一覧表のデータを、設定した類別に基づき多角的に量的分析を行っているので、船舶及び輸送船団の被害状況を客観的に解明した学術書としての使命である。本書が将来に亘り広く利用されることを願っている。